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- 日本の電力不足への懸念
2013/04/01
6年前の2007年夏、埼玉県熊谷市で40.9度という空前の猛暑を向かえた東京電力では
8月22日最大電力6147万kWとなり、電力危機を回避するために「随時調整契約」に
基づき、化学・非鉄金属メーカー23社に生産ライン一時停止などの発動をおこなった。
東京電力では、2007年7月16日起きた新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原子力発電所が停
止した影響で、711万キロワット(定期検査中の1号機を除く)の供給力を失っている。
連日の猛暑で、電力需給が逼迫していたことと重ね合わせての事態であった。
データ改ざんなどで運転休止していた塩原水力発電所(出力90万キロワット、栃木県那
須塩原市)も、午後1時から緊急稼働したほか、北海道、東北、中部の3電力会社から計
150万キロワットの追加の電力融通を受けて、6400万キロワットの供給力を確保し、
供給不足に陥るという最悪の事態は回避されたが、猛暑が続く中、電力供給の綱渡り状態
が続いていた。
新潟県中越沖地震の影響により損壊した柏崎刈羽原子力発電所では、復旧作業に予想外の
事態・修理が発生し、稼動再開までには3年近くの年月が費やされ、H21.12.28 ようやく
7号機が、そしてH22.1.20 に6号機が再開された。やっと一息というところである。
今後、地球温暖化による影響で夏になると益々電力不足が心配されることが予測される。
政府の電力供給政策では地球温暖化防止の面から石油・石炭など化石燃料による火力発電
所の増設は難しく、原発の増設に期待をしている。しかしながら中越沖地震は原発のもろ
さをはっきりと示した。集中立地の原発は大災害により一斉に停止し、一気に電力危機を
引き起こす結果につながるのである。地震大国の日本で第二のチェルノブイリ原発事故が
起きる可能性があることが証明されたのです。今後は、集中型の原発とは別に地域に密着
した再生可能エネルギー利用の分散型発電に力を入れていく必要があると考えます。ドイ
ツを始めヨーロッパでは脱原発、再生可能エネルギーに重点を移したエネルギー政策を取
る傾向にあります。
将来枯渇していく化石燃料の供給不安のリスクを回避していく上でも風力発電、太陽光発
電、燃料電池発電など再生可能エネルギー利用政策を進めていくことが重要ではないかと
考えます。
柏崎刈羽原子力発電所
電気管理技術者 佐 近
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