Text: /電気保安index> ミライ電気保安
「電気の保安の必要性」 いま、私たちの生活に必要不可欠なものは「衣食住」に加えて電気ではないでしょうか。21世紀はエネルギーの時代と言われていますが、これは今後アジア・アフリカなど発展途上国の経済の発達に伴い、地球に残存する化石エネルギーの枯渇の問題が大きくクローズアップされることになるとの見方によるものです。一次エネルギー(石炭・石油・天然ガス)と、それらから得られる電気などのエネルギーの中でも特に電気は「安全・簡単に使用できるクリーンエネルギー」ということで産業の発達に伴い伸び続けており、その消費量は世界各国における社会・産業のバロメーターのひとつにもなっています。そしていま、私たちの生活においても電気がなければ、家庭では明かり・掃除・洗濯・冷蔵庫・テレビ・情報など、また職場においては照明コンセント・電話・コンピューター、そして社会・産業においては電車・地下鉄、信号機などの交通網、区役所・学校・老人ホームなどの公共機関、電話・携帯電話などの情報網、工場の生産ラインなどありとあらゆるものが機能しなくなってしまいます。もしこの電気がストップしたらどうなるのでしょう。 また北米大停電と同時期、中国では長江デルタ地域の各地で2〜3日に1回昼間停電が起き、24時間操業体制しなければならない日系の音響メーカーや化学メーカーでも突然停電し大きな問題になっています。 そして2003年夏日本でも、東京電力鰍フ原子力発電所の自主点検作業報告書に虚偽の記載が発覚し、安全確認の総点検のためすべての原子力発電所が停止した結果、首都圏において大停電の危機が叫ばれたが一部の原子力発電所が運転を再開したのに加え、企業・社会の節電協力や冷夏に救われ停電という最悪の事態はさけられた。 電気は発電所から家庭にいたるまで、送電線・配電線・施設内配線(含家庭)へと連携でつながっているわけですから、どこかで事故がおきれば影響を最小限にするために自動的に保護装置が作動しその配電系統を遮断します。するとその配電系統に接続している部分すべてが原因を取り除くまで停電することになり非常に大きな影響を与えることになります。そのような事態を想定し未然に防ぐために、日本では事業用電気工作物の工事、維持および運用に関する保安の監督をさせるために「電気主任技術者制度」を取り入れ電気使用者の自己保安責任体制を整え、高い品質の電気供給システムを構築しています。日本の電気料金は高いとよく言われていますが、エネルギー資源の脆弱さにもかかわらず他の国に例を見ないほど危機管理に強く、かつ停電の少ない高品質の電気供給体制となっています。いま、エネルギーのような基幹的な政策を要求される部分については、高い費用を出してでも危機を確実に回避できることがベストとされ望まれています。 私たち電気管理技術者はそのことを十分認識して正道を歩んでいかねばなりません。 「電気保安の意義と将来」 私たちの業務目的は「お客様(設置者)施設の電気に関する安全の確保に寄与する」ことにあり、そのために日々の技術の向上に励まなければなりません。そしてまた従来のような、ややもすると待ちの保安からのイメージチェンジをはかり、明るくエキサイトな保安に転換していくことも時代の要請ではないかなと感じるところです。電気保安をわかりやすくアピールし、静から動の保安へと脱皮を図るべきだと考えます。・特色ある点検表に変える(できるだけ簡単明瞭に) ・重要機器について年間点検結果の評価を提言し、更新年月の重要性を提言実施。 ・絶縁監視装置・デマンド管理・電気料金サービスなどソフト面での強化を図る。
近年の高度情報化社会では電気はライフラインとして欠かせない事業であり、経済的かつ高効率・高品質の供給をしていくためには、使用者側施設において波及事故の起こらない環境作りの施策がどうしても必要となり、その仕組みづくりは国レベルで推進していかねば成し得ないと考えられます。 それと平行して、現場においては経験を積んだ電気管理技術者が月次・隔月点検を行うことにより、ほこり・結露などの汚染による高圧機器の絶縁性能の劣化、また誘導雷などによる機器本体・碍子などの損傷を確認し分析。そのほか変圧器の振動などにより高圧機器に接続されている電線の接続端子部分の緩みによる加熱変色、および最近の地球規模の異常気象・多発する地震などによる受電設備の温度上昇・変形・傾斜などの状況を確認することにより、不良・事故要因を未然に発見対処していくことがきわめて重要です。 日常、止めることのできない電気施設の月次・隔月点検ですから、目に見えない不良・危険箇所を判断するためには電気管理技術者の高い技術判断力が要求されるわけです。言い換えれば電気管理技術者の点検技術力をいかに高めていくかということが、波及事故率減少の最善策の決め手になるのではないでしょうか。 また最近は視覚認識といった簡単一目でわかるものが求められています。従来のような、ややもすると待ちの保安とみなされかねない守りの保安では、施設者の目からは好印象にはとられにくく、私たちの目指す大きな目的も理解されにくい。これからは電気の本当の危険・大切さを一番理解していただきたい施設者に対し、子供にもわかるような簡単明瞭な保安管理を進めていくことが重要と考える次第です。 そしてまた、最近では絶縁監視装置を設置した隔月点検の形態にすでに一部が移行しております。新規参入の電気保安法人には、技術者不足の解消においても、こうした隔月点検に移行する体制が主流を占めるものと推測されます。そのような認識を踏まえたうえで今後の保安管理に求められるものとしては、下記のようなものがあげられる。 ・電気料金の低減を図るために、デマンド管理・小売自由化による低廉な電力会社の選択などソフト面での提言。 ・アメリカ同様に電力自由化が進む日本でも現実に起こりうる大停電に備え、危機管理体制を積極的にすすめるべく、自家発電装置・無停電装置(UPS)などを積極的に設置を提言していく。 こうした提言によって施設者と電気管理技術者が一体となった真の自己保安体制が構築されると確信いたします。 「具体的な施策」
「最後に」 |
- - - - - - - - - - - - - - - - -
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
Sakon-net Back Numbers
Original articles: Copyright(c) 2002 Sakon-Net All rights reserved.