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130-1 受電室などの施設
- 受電室の位置及び構造は、次の各号によること。
@ 湿気が少なく、水が浸入し又は浸透するおそれのない場所を選定するとともに、それらのおそれのない構造とすること。
A 火災時の消防放水又は洪水、高潮などによって容易に電源が使用不能にならないように配慮すること。
B 受電室は、防火構造又は耐火構造であって、不燃材料で造った壁、柱、床及び天井で区画され、かつ、窓及び出入口には甲種防火戸又は乙種防火戸を設けたものであること。
ただし、受電設備の周囲に有効な空間を保有するなど防火上支障のない措置を講じた場合は場合は、この限りでない。
[注] 防火構造、耐火構造及び不燃材料に関しては、建築基準法、消防法及び各都道府県又は市町村の火災予防条例によること。
C 爆発性、可燃性又は腐しょく性のガス、液体又は粉塵の多い場所には、受電室を設置しないこと。
D 積雪及び屋根からの雪・氷柱の落下あるいは強風時におけるガラス破損その他によって雨水が吹き込んだり、雨漏りがしないような窓の位置及び強度などを考慮すること。
E 窓及び扉は、雨水又は雪が侵入しないようにその位置及び構造に注意すること。
F 鳥獣類などが侵入しないような構造とすること。
G 機器の搬出入が容易にできるような通路及び出入口を設けること。
H 取扱者以外の者が立ち入らない構造にすること。
- 受電室の広さは、次の各号に掲げるところにより機器の適正な配置に必要な面積と、保守点検のために必要な通路の面積を合計したものとすること。
@ 変圧器、配電盤など受電設備の主要部分における距離の基準は、保守点検に必要な空間及び防火上有効な空間を保持するため、130-1表の値以上の保有距離を有すること。
A 保守点検に必要な通路は、幅0.8m以上、高さ1.8m以上とし、変圧器などの充電部とは0.2m以上の保有距離を確保すること。(労働安全衛生規則第344、542、543条)
130-1表 受電設備に使用する配電盤などの最小保有距離
機器別 |
部 位(m) |
前面・操作面 |
背面・点検面 |
列相互間
(点検面)* |
その他の面 |
高圧配電盤 |
1.0 |
0.6 |
1.2 |
- |
低圧配電盤 |
1.0 |
0.6 |
1.2 |
- |
変圧器など |
0.6 |
0.6 |
1.2 |
0.2 |
[備考] *は、機器類を2列以上設ける場合をいう。
B 受電室の広さ、高さ及び機器、配線などの離隔距離は、130-1図によること。
C 通路面は、つまづき、すべりなどの危険のない状態に保持すること。
D キュービクルを受電室に設置する場合、金属箱の周囲との保有距離、他造営物又は物品との離隔距離は、130-2表の区分に従い保持すること。(130−2図参照)
130-2表 キュービクルの保有距離
保有距離を確保する部分 |
保有距離(m) |
点検を行う面 |
0.6以上 |
操作を行う面 |
1.0+保安上有効な距離以上 |
溶接などの構造で換気口がある面 |
0.2以上 |
溶接などの構造で換気口がない面 |
- |
[備考1] 溶接などの構造とは、溶接又はねじ止めなどにより、堅固に固定されている場合をいう。
[備考2] 保安上有効な距離とは、開閉装置等の操作が容易に行え、かつ、扉を開いた状態(固定)で人の移動に支障をきたさないように1.0mに加える距離をいう。
- 受電室の照明は、次の各号によること。
@ 照度は、配電盤の計器面において300ルックス以上、その他の部分において70ルックス以上であること。(労働安全衛生規則第604条)
A 照明器具は計器面に反射して見えにくくならない位置に施設すること。
B 受電室の灯具は、管球取替えの際充電部に接近しなくてもよいようなところに施設すること。
なお、停電の場合を考慮して、移動用又は携帯用灯火を受電室のわかりやすい場所に備えること。
130-1図 受電室内における広さ、高さ及び機器の離隔(参考図)
 |
130-2図 受電室内に施設するキュービクルの保有距離
 |
- 受電室の保安施設は、次の各号によること。
@ 変圧器の発熱(130-3表参照)などで、室温が過昇するおそれのある場合には、通気孔、換気装置又は冷房装置などを設けてこれを防止すること。
なお、通気孔その他の換気装置を設ける場合は、その構造に特に注意し、強風雨時における雨水及び風雪時における雪の吹き込むおそれのないよう十分配慮すること。
130-3表 変圧器の発熱量例(6.6kV/210V,50Hz)
変圧器容量[kVA] |
相別 |
損失[kW] |
50 |
単相 |
0.90 |
三相 |
1.16 |
75 |
単相 |
1.36 |
三相 |
1.68 |
100 |
単相 |
1.72 |
三相 |
2.12 |
300 |
単相 |
4.46 |
三相 |
5.59 |
500 |
単相 |
6.82 |
三相 |
8.42 |
A 湿気又は結露により絶縁低下などのおそれがある場合には、これを防止するため適当な対策を講ずること。
B 自動火災報知設備の感知器は、保守・点検の際充電部に接近しないようなところに設置すること。
C 受電室は、取扱者以外の者が立ち入らないような構造とし、出入口又は扉には、施錠装置を施設し、かつ、見やすいところに「高圧危険」及び「関係者以外立入禁止」などの表示をすること。
(解釈43)なお、高圧充電部に「充電標示器」を取り付け、取扱者の注意を喚起すること。(推奨)
D 露出した充電部分は、取扱者が日常点検などを行う場合に容易に触れるおそれがないよう、離隔距離20p以上を保つか、防護カバーを設けること。
E 変圧器の励磁振動(又は音)が騒音となり、影響を及ぼす場合には、適切な防音施設を施すこと。受電室を敷地境界線の近くに施設する場合は、その騒音測定値は、都道府県の騒音防止条例に定められている規定値以下とすること。
F 受電室内には、130-4表に示す電気火災に有効な消火設備(不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備、粉末消火設備又は消火器)を設けること。
G 受電室内には、保守・点検用電源のコンセント回路を設けること。
H ケーブル等が受電室の壁等を貫通する場合は、適切な防火措置を講ずること。
[注] 換気用ダクトには、自動的に閉鎖(煙又は熱により)するダンパーを設けることとされている。
(火災予防条例(例)第11条)
- 受電室の用途制限は、次の各号によること。
@ 受電室は、倉庫、更衣室又は休憩室など受電本来の目的以外の用途に使用しないこと。
A 工具、器具及び材料は、受電設備の監視、保守、点検などに支障がない箇所に保管すること。
B 受電室には、水管、蒸気管、ガス管などを通過させないこと。
- 受電設備に使用される機器(特に変圧器)、配線などは床、壁、柱等に堅固に固定するなど地震による振動等に耐えるための有効な措置を施すこと。
[注] 資料4 「耐震対策」参照
- 受電室には、電気主任技術者の氏名、所属、連絡先等を見やすいところに表示すること。
- 受電室には、受電室専用の分電盤及び制御盤以外は設けないこと。
130-4表 発変電設備に設ける消火器及び消火設備(参考例)
電気容量及び位置等 |
消火設備 |
関係法令
消防法その他 |
不活性ガス消火設備
ハロゲン化物消火設備
粉末消化設備 |
大型
消火器 |
消火器 |
電気室の床面積が200u以上 |
○13条 |
- |
○ |
消防法施行令第13条、
消防法施行規則第6条、
東京都火災予防条例第36号 |
電気室の位置が地上31mを超える場合 |
○40条 |
- |
○ |
消防法施行規則第6条
東京都火災予防条例
第36・37・40条 |
特別
高圧 |
乾式又は不燃液機器を使用 |
- |
○37条 |
○ |
油入機器を使用 |
○40条 |
- |
○ |
高圧
低圧 |
油入機器1,000kW以上 |
○40条 |
- |
○ |
乾式又は不燃液機器で1,000kW以上 |
- |
○37条 |
○ |
油入機器で500kW以上1,000kW未満 |
- |
○37条 |
○ |
その他(500kW未満) |
|
- |
○ |
発電
設備 |
1,000kW以上 |
○40条 |
- |
○ |
500kW以上1,000kW未満 |
- |
○37条 |
○ |
その他(500kW未満) |
- |
- |
○ |
無人の変電・発電設備 |
○40条 |
- |
○ |
[備考] 本表は、関係法令(消防法その他)において規定されているものの例示であり、使用している用語等は次による。
〔1〕 電気室とは、発電機、変圧器その他これらに類する電気設備が施設されている室をいう。
〔2〕 消火器とは、二酸化炭素消火器、強化液消火器(消火液を霧状に放射するものに限る)、ハロゲン化物消火器及び粉末消火器をいう。
〔3〕 不活性ガス消火設備とは、二酸化炭素消火設備、窒素消火設備、IG-55消火設備、IG-541消火設備をいう。不活性ガス消火設備の適用は、所轄消防署との協議による。適用例を下表に示す。
防火対象物又はその部分 |
放出方式消火剤 |
全域 |
局所 |
移動 |
二酸化炭素 |
イナートガス |
二酸化炭素 |
二酸化炭素 |
常時人がいない部分 |
多量の火気を使用する部分 |
○ |
× |
○ |
○ |
発電機室 |
ガスタービン発電機設置 |
○ |
× |
○ |
○ |
その他のもの |
○ |
○ |
○ |
○ |
通信機器室 |
○ |
○ |
× |
× |
○:所轄消防署との協議のもとで設置可 ×:設置不可
〔4〕 ハロゲン化物消火設備とは、ハロン2402消火設備、ハロン1211消火設備、ハロン1301消火設備、HFC-23消火設備、HFC-227ea消火設備をいう。ハロゲン化物消火設備の適用は、所轄消防署との協議による。適用例を下表に示す。
防火対象物又はその部分 |
放出方式消火剤 |
全域 |
局所 |
移動 |
ハロン |
HFC |
ハロン |
ハロン |
2402 |
1211 |
1301 |
常時人がいない部分 |
多量の火気を使用する部分 |
× |
× |
○ |
× |
○ |
○ |
発電機室 |
ガスタービン発電機設置 |
× |
× |
○ |
× |
○ |
○ |
その他のもの |
× |
× |
○ |
○ |
○ |
○ |
通信機器室 |
× |
× |
○ |
○ |
× |
× |
○:所轄消防署との協議のもとで設置可 ×:設置不可
〔5〕 kW は全出力であり、変電設備の変圧器の定格容量(kVA)の和に次の係数を乗じて算定する。
定格容量の数値の合計[kVA] |
係数 |
500未満 |
0.80 |
500以上1,000未満 |
0.75 |
1,000以上 |
0.70 |
〔6〕 具体的に計画する場合には、都道府県の条例によることとし、かつ、その詳細については、所轄消防署と協議する。
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