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高圧自家用電気工作物の波及事故
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資料08_2 高圧自家用電気工作物の波及事故
  1. 高圧自家用電気工作物の波及事故
    電気は、今や空気や水と同じように国民生活や産業活動にとって、なくてはならない不可欠なエネルギーとなっており、近年においては電気利用が高度化し、電力の安定供給がますます重要になってきている。
    しかしながら、自家用電気工作物設置者側の設備に起因する事故によって、電気事業者の配電系統を停電させてしまう事故(波及事故)が依然として多く発生しており、この波及事故が一旦発生すると自らが損失を被ることはもちろん、その配電線に接続されている多くの需要家に迷惑をかけることになる。
    このような自家用波及事故は自主保安で防止することが基本となるが、波及事故が発生してしまった場合、その発生原因を分析し具体的な対策を講じることが必要であり、また施工時から品質の高い機材を適切な箇所に使用することも重要となっている。

  2. 波及事故の推移
    全国の高圧自家用波及事故の原因別発生状況を8-3表に示すが、年度ごとの波及事故発生件数と事故原因別構成率に大きな変化がない。
    事故原因別に見ると、保守不備のものが一番多く、ついで自然現象によるものとなっている。

    事故原因 平成9年 平成10年 平成11年 合計
    件数 構成率
    件数 構成率
    件数 構成率
    件数 構成率
    設備不備 14 3.6 17 4.0 27 6.1 58 4.6
    保守不備 136 35.1 154 36.5 170 38.1 460 36.7
    自然現象 114 29.5 125 29.6 137 30.7 376 30.0
    故意・過失 77 19.9 76 18.0 66 14.8 219 17.5
    他物接触 36 9.3 38 9.0 38 8.5 112 8.9
    腐食 0 0.0 2 0.5 0 0.0 2 0.2
    振動 0 0.0 0 0.0 1 0.2 1 0.1
    他事故波及 2 0.5 1 0.2 0 0.0 3 0.2
    その他 3 0.8 5 1.2 5 1.1 13 1.0
    不明 5 1.3 4 0.9 2 0.4 11 0.9
    387 100.0 422 100.0 446 100.0 1255 100.0

  3. 事故原因と事故発生箇所
    @ 架空引込み設備
    平成9年から11年までに発生した波及事故について、その原因と事故発生箇所について調査した。8−4表は引込設備について示したものであるが、自然現象による開閉器の事故が大きなウエイトを占めていることがわかる。
    このように開閉器類の事故が多い要因の一つには、電力会社との責任分界点に施工される地絡継電装置付高圧交流負荷開閉器(G付PAS)等は、屋外に施設されるため雷による被害を受けやすくなっていることもあげられる。G付PASの被害が増加しているが、本来の波及事故防止効果も大きい。被害防止対策として機器保護のための避雷器の取付が有効であるので、襲雷頻度の多い地域は設備の大小に係らず避雷器を施設する。
    次に、高圧ピンがいし類ひび割れなどによる事故発生もついで多くなっており、高圧ピンがいしから中実がいしへの取替や引き止留め部の耐張がいしを2個連にするなどの対策が必要である。

    8−4表 架空引込み設備における波及事故原因と被害箇所
    被害箇所 波及事故原因
    設備
    不備
    保守
    不備
    自然
    現象
    故意
    過失
    他物
    接触
    腐食 震動 他事故
    波及
    その他 不明
    支持物 1 4 5
    腕木腕金 1 1
    がいし 4 16 10 1 1 32
    電線 1 26 17 26 10 1 1 82
    圧着圧縮
    接続部
    2 6 1 9
    開閉器 15 89 212 25 22 1 1 3 368
    その他 10 2 6 1 19
    20 144 248 62 34 2 0 0 2 4 516

    A 地中引込み設備
    地中引込み設備で大きなウエイトを占めているのはケーブルによる事故であり、原因は保守不備によるものと公衆の故意・過失によるものに2分されている。
    保守不備なものには、ケーブルの水トリーによる絶縁劣化によるものが多く含まれているものと想定され、昭和51年以前のCVケーブル及びBNケーブルなどは、定期的な劣化診断を実施し、劣化が進んでいるものは早急に取替を行うことが必要である。
    また、公衆の故意・過失の中には重機類でケーブルを損傷し波及事故になるものも多く、標石や埋設シートの設置を行うことや、構内の工事の際には電気主任技術者との事前打合せを行うなどの予防策も不可欠である。

    8−5表 地中引込み線における波及事故原因と被害箇所
    被害箇所 波及事故原因
    設備不備 保守不備 自然現象 故意・過失 他物接触 腐食 震動 不明
    ケーブル 5 128 19 67 1 1 221
    接続箱 0
    ケーブルヘッド 11 1 2 4 1 19
    その他 1 1 1 3
    6 140 21 69 5 0 1 1 243

    B 受変電設備
    受電設備での被害箇所は多岐にわたっていることから、主遮断器を含む電源側と負荷側に分け分析した。
    主遮断器を含む電源側機器は故障が発生した場合の保護装置がない場合が多く、波及事故になる確率が高くなっているが、これらを構成する機器としては遮断器、開閉器、計器用変成器などがあり、8−6表で示すとおり波及事故発生の大きなウエイトを占めていることがわかる。
    遮断器では保守不備によるものが多く発生しており、定期的清掃など適切なメンテナンスが望まれる。また、開閉器では雷、台風などの自然現象の他に、屋内に設置される高圧交流気中負荷開閉器(LBS)の充電部に、ネズミ、ヘビなどの小動物が接触し波及事故が発生している。この対策としては、電気室、キュービクルの隙間・開口部を閉塞するなどの侵入防止対策を講じることや、充電部の絶縁バリアー、保護カバー取付けも必要となってくる。
    主遮断器負荷側の設備では、がいし、電線、コンデンサ類があり、がいしでは3線一括クリートを1線ごとにがいしで支持することや、電線では他物と接近する箇所などの早期発見が望まれる。このように受電設備においては、定期的な点検や日常の巡視などから異常を発見できる場合が多く、適切な対応が望まれる。

    8−6表 受電設備における波及事故原因と被害箇所
    被害箇所 波及事故原因
    設備
    不備
    保守
    不備
    自然
    現象
    故意
    過失
    他物
    接触
    他事故
    波及
    その他 不明
    変圧器 27 10 7 2 1 47
    開閉器 4 28 29 11 35 1 108
    断路器 1 5 3 7 3 1 20
    遮断器 21 39 25 13 9 7 4 118
    電力用コンデンサ 2 6 3 3 4 2 20
    分路リアクトル 1 1
    避雷器 3 11 1 2 17
    計器用変成器 34 19 6 8 1 1 69
    がいし 4 3 7
    導体(電線等) 2 8 3 7 5 25
    高圧カットアウト 1 1 2 4
    その他 3 1 11 3 1 19
    30 159 107 67 73 3 11 5 455

    C 負荷設備
    負荷設備から波及事故に至った件数はごく少数となっており、自然現象によるものが多くなっている。一般的には負荷設備からの不具合から波及事故に至る場合は、保護継電器との協調が取れていない場合が多いので、整定値を見直すなどの対策が必要となる。
    8−7表 負荷設備における波及事故原因と被害箇所
    被害箇所 波及事故原因
    設備不備 保守不備 自然現象 故意・過失 不明
    配 線 1 3 4
    機 器 1 2 1 4
    保護継電器 1 1
    電磁接触器 1 1 2
    0 4 0 6 1 11

    D その他
    過去においては、台風や豪雪により屋上に設置されたキュービクル受電設備に事故が多発した事例がある。
    この原因はキュービクル内部に雨、雪が吹き込み事故が発生したものであるが、多くは暴風雨対策がとられていない昭和61年以前の製造品及び昭和61年2月以降製造のJIS不適合品であると考えられ、これらのキュービクル式高圧受電設備については適切な暴風雨対策を実施する必要がある。

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