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大都市停電を考える(電気広域災害危機管理の必要性)
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Text: /電気保安index > 波及・停電事故 > 大都市停電対策(広域災害危機管理の必要性)
2003/8/14/16:11(現地時間)に起きたアメリカ・カナダ東部一帯の大停電はニューヨーク市など広い地域で地下鉄が止まり、信号が消え,道路は市民であふれ大渋滞となり都市機能がまひし、市民生活は大混乱に陥り5000万人に影響をあたえた。
停電は大都市の致命傷になることが実証された。
停電時間帯がもう少し早ければ金融市場も巻き込み、経済的な影響が世界中に波及する危機一髪の事態だったおそれもある。直接の原因は、オハイオ州の送電線で起きた一時的な停電や電圧低下が発端となった可能性が高くなった。その後、負荷の急激な高まりから安全装置が次々と働き、ドミノ倒しのように周辺の発電所が次々に送電を停止。わずか2時間で、5千万人に影響を及ぼす大規模停電につながったと見られる。
しかしながら事故の遠因は明らかである。

電力自由化の先行するアメリカでは、電力各社が小売自由化で厳しい競争を繰り広げており、その状況の中では発電・送電設備の予備設備はコスト高の元凶とされ投資は抑えられている。2001年カリフォルニア州停電のときには猛暑の米国東部でも輪番停電の寸前まで追い込まれていたほどニューヨーク市周辺では予備電力が少ない。
また、アメリカでは送電線が網の目状に広がって、大小3000社以上の規模の異なる発電・送電・配電会社間で連結し電力の融通が行われており、一社に大きなトラブルが発生した場合に停電を狭い範囲で食い止められずドミノ倒しのように被害が拡大してしまうことが考えられます。以前から警告されていた事態が現実に起こってしまったことでアメリカの電力供給体制が極めて脆弱であることを証明する結果となってしまった。電力の専門家からは「21世紀の電力市場を前世紀の送電施設が支えている」との指摘を受けていたという。

2003年夏、日本では東京電力の原子力発電所が停止し、首都東京は大停電が予測されていたが乗り切った。官民上げての「節電の呼びかけ」、「主任技術者による自主保安の確立」ならびに電力会社の発電・送電・配電の総合的な電力供給システムに基づくいわゆる「危機管理に強い供給体制が東京大停電を未然に防いだのである。
近年の中国、インドなどアジアにおける経済発展に伴いエネルギー不足が深刻な状況となってきている。またエネルギーの枯渇に対する不安と共に、中国による世界中の資源の買占めが新たに大きな問題としてクローズアップされ始めた。また、イスラム原理主義者によるテロが中東の石油施設に照準を合わせている。
電力の多重の安全装置は日本の高い電気料金の一因となっているが、大きな影響を及ぼす都市型大停電の回避のためにはやむをえない。ある程度の出費は出してでも確実に危機を防ぎきることが現代の不安定な社会生活基盤において一番望まれていることである。
電気管理技術者 佐 近

<電気保安index>

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